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本当は恐いグリル童話U

8
花のようなデビュタント
 
 
気品あふれるミカサンドロス家と花のような美しさのタカマドリゲル家の令嬢たちが華麗に社交界デビューを果たしたのを見ていたアキシーノ公爵家ではマコリンペリーナをそれ以上に派手にお披露目しようと決めていました。
 
フンミ公爵はいつもより多く眼玉をぐるぐる回し、ゴッキ夫人はいつもより大きく鼻の穴を広げて準備をしていました。
マコリンペリーナは綺麗なおべべを着ることが何よりうれしくはしゃいでおりました。
 
しかしデブー、いえデビューまでは大変でした。
なぜかお針子の元へ行くたびドレスがきつくなっていくのです。
「ちゃんと測りなさいよ」
マコリンペリーナが怒ります。
「そ・それはマコリンペリーナさまがボリュームアップ…」
「なんですって、蹴飛ばすわよ」
そう言われれば黙ってサイズを直すしかありません。
ご令嬢の飛び蹴りの威力は皆が知るところです。月の裏側まで飛ぶという噂でしたから、誰もが蹴られたくなかったのです。
 
ティアラを作るのも一苦労でした。
丁度おやつの時間に職人と会っていたためか、マコリンペリーナは少しばかり混乱していました。
「ご令嬢、どのようなデザインにいたしましょう?」
「…バームクーヘン…丸ごと(食べたいな)」
「丸ごとのバームクーヘン型ですか?」
「クリームをいっぱい絞って、スプレーチョコやアラザンをたっぷりつけて…じゅる…」
職人は困ってしまいました。バームクーヘンのデザインなどしたことがなかったのです。しかし職人には意地がありました。
ちなみにこの時マコリンペリーナには食い意地がありました。
 
出来上がったティアラは注文通りにバームクーヘン型でアラザンをちりばめたようなものでした。
このティアラをつけるとなぜだかお腹がすいて口が自然とすぼまってしまうのです。そうしないとよだれが出てしまうからです。
 
ゴッキ夫人は、マーサ妃を見た民がバラのような美しさにそうしたように、この娘の姿を見て感嘆の声をあげると思っていました。
しかしマコリンペリーナが姿を見せるとラフレシアのようなご令嬢に国中津々浦々嘆息したのでございます。
 
 
※ミカサンドロス家…伯爵家ではあるが、アキシーノ公爵家よりも格調も気品も高い家である。

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Last updated: 2012/6/25