むかしむかしサン・ドッコイ・コラショ（通称３ＤＫ）という小さな町に一人の少女がすんでいました。名前はゴッキといいました。

ゴッキは小さな３ＤＫを出て、皆にかしずかれる生活にあこがれており日々王子に出あう日を待っていたのですが、待っているばかりではいけないと悟りました。

 

タッツ・サールノワックセー・イ・カワスマはゴッキを学問所へ入れ王子との出会いの機会を作ってやりました。が、王子は真実を見抜く目を持つ方でしたのでゴッキを軽くスルーなさったのです。

仕方なくフンミ・アキシーノ公爵に狙いをつけました。フンミはおつむだけではなくとにかくあらゆる所が軽いお方でしたからそこら辺で若い娘を見つけては後学のためにドレスのサイズなどを聞いていました。だからといってお針子になりたかったわけではありません。その中身に興味があったのです。

 

タッツは確実に公爵をゲットするために魔女カッズィーヨに助けを求めました。

魔女カッズィーヨは《ガック・シャー・ノ・カケー・デッスカ・ラー》という呪文を唱えてアンダースコートをゴッキに渡し、タッツの手引きで公爵の乱痴気パーティへと忍びこませました。その時カッズィーヨはこう注意しました。

「いいかい、12時になったら魔法が解けるからね。それまでにフンミをゲットするんだよ」

 

パーティ会場で公爵は多くの令嬢に話しかけておりました。ですがなかなかゴッキの元へは来ません。自分から近づいて話しかけてもすぐ他の令嬢の方に目が行き、ゴッキの傍を離れてしまいます。12時が近づいてゴッキは焦りました。

「これではだめだわ。そうだ、カッズィーヨの魔法のアンスコ…」

ドレスの下にはいているモノを思い出し、ちらっと裾をめくりましたが、公爵は気づいていません。

「なんとかしなくちゃ」

そこで思い切ってズデーンと転んでみました。ドレスはめくれ上がりアンダースコートが丸見えになりましたが、やはり美しい令嬢に気をとられゴッキに気づいていません。

転んだだけでは十分ではないと気づきゴッキは靴を手に取り投げました。　　

ビューン

ゴチッ

公爵の額に命中です。

靴には名前と３サイズがかなり大きく書かれていました。靴が飛んできた方向を公爵が見ると、アンダースコート丸見えで転がるゴッキがいました。ドレスは腰の方までめくれていました。実はゴッキがさらにちょいとめくったのです。

エロい…いえ、お優しい公爵は駆け寄り手を差し伸べました。

「ありがとうごじゃいましゅうぅ」とゴッキは手を取りこたえます。「転んで靴が脱げてしまいましたぁ。靴が飛んだ理由は上手くまとめられましぇんがぁ」

「じゃあ、ちょっとまとめるね。…やはり転んだ訳ですけれども、何らかの形で靴に勢いがついたのですけれど、そのまま私の方に飛んで命中し…血が出たかと思ったね」

「ありがとうごじゃいます。もちろん痛かったでごじゃいましょう」

ゴッキは手袋のまま公爵の額に触れ、冷や汗を拭ってあげました。

そうして公爵は罠に落ち…ではなく、恋に落ちたのです。

そして12時を過ぎましたが、もちろんゴッキは帰ることなく公爵に張り付いておりました。

 

 

その後、カッズィーヨは公爵が３ＤＫを訪れるたびに家の周りをまわって呪文を唱え、公爵が逃げられないようにしていました。逆にゴッキが公爵邸を訪ねる時は鍵がかかる魔法を使い二人きりになるように仕向けました。

 

そうしてゴッキは公爵と結婚するはめになりました。

 

カッズィーヨは３ＤＫからゴッキを送り出す時に魔法のかかった白いチョコボールにひもを通しゴッキの首にかけてこう言いました。

「夜誰にも見られないように呪文を唱えてお食べ。そしてその時願いを唱えるのよ。そうすれば願いはかなうわ。でも願いはよぉく考えましょうね」

 

　ゴッキはその夜、公爵がグースカ寝ている間に《ガック・シャー・ノ・カケー・デッスカ・ラー》と唱えてチョコボールをバリバリと食べ、願いをつぶやきました。

　「数え切れない真珠を買えて、国一番の人気者になれますよーに」

 

 

　さて、それからどうなったでしょう。

　ゴッキは願いどおり真珠をたくさん手に入れることができたのです。

　ですが、カッズィーヨはあまり腕の良い魔女ではなかったためもう一つの願い「国一番の人気者」の方はちょっと人気が出ただけですぐに効き目が切れ、今では人気が無くなってしまったのでした。