新しい年を迎え気分も新たにスモール・ソーサー妃は朝の庭の散策をしておりました。
その時昨年のことを思い浮かべて一人笑ったり怒ったり忙しく表情を変えていました。
「マーサったら具合が悪いからって国賓をお迎えしないなんて、わたくしなんて2度もご挨拶に伺ったのに…うふふ、きっと素晴らしいお后だといっていたに違いないわ」
笑っていたかと思うと今度は眉間にしわを寄せ
「そういえば誰がマーサをハブにしたことをチクったのかしら。見つけたらただじゃすまないわ」などと呟いておりました。
「ナールは困っているでしょうね、マーサが瓦版でこんなに叩かれて…。ああ、わたくしが慰めてあげたいわ。泣きついてきたのならいつくしみ深いわたくしがしっかり抱きしめて許してあげるのよ」
そんなことを想像するとゾクゾクとするのでした。
「そうしたら民にその姿を知らせなければいけないわ。民はいつでもわたくしを見たがっているのですもの。ああ、人気者って辛いわ」
辛いわりには笑いが止まりません。
「ナールはわたくしの愛を忘れてしまったのね。でもわたくしはいつでも両手をちょっとだけ広げて待っているのよ。何と言っても聖母ですもの。おーほほほほ」
つい浮かれてステップを踏んでいました。
するとグキッと足首をひねってしまったのです。
「ああ、痛い。絶対捻挫だわ。でも待っている民にわたくしの姿を見せなければ、民が暴動を起こすのじゃないかしら。誰も見ないコームを休みましょう。ハーゲイ、ハーゲイ・タシングォ、いないの?役に立たないわね」
ソーサー后は不機嫌になりながらもすたすたと王宮に向かって歩き出しました。
「へっくしょい、ちくしょう」
途中でりっぱなくしゃみを一つ。
レディー・スマープ特製の帽子が少しずれ、王宮に戻る前にそれを直しました。
少し時間がかかってしまい、ソーサー后は体の芯までヒエタそうです。
※ハーゲイ・タシングォ…王と后の忠実な執事
頭髪と名前の関係は「卵が先か、鶏が先か」くらいの難問
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