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Bon Appetit

1      第一夜:オードブル:愛と智慧のテリーヌ 世界の輝きとともに

 
アイコディーテ姫は少し不安でした。学問所に一人で行ってもランボー君は何もしないかしら、と考えていたのです。
しかしマーサ妃に心配をかけないように頑張ろうと心に決めました。
とはいえベッドに入ってからもその不安は消えませんでした。
 
気がつくとアイコディーテ姫の真上では深い蒼い空に星々が瞬いています。姫はそれを眺めていました。
どの星もとてもきれいでした。
一つの星が金色に光っています。じっと見ていると少しずつ光が弱くなり白く消えそうな輝きになっていきました。
「消えちゃうわ」
アイコディーテ姫は星のために祈りました。その祈りが届いたのでしょうか、星は少し輝きが戻ったように見えました。
そしてその周りの星たちがまるで応援をするかのように瞬き始めました。金色の星は徐々にその光を強め、次第にその光を取り戻しました。
「よかったわ。みんなが助けてくれたのね」
姫がホッとして視線を地上に戻すといつの間にか姫の周りにも友達がたくさんいて一緒に空を見上げていました。
「きっと私も大丈夫。みんながいるんですもの」
 
目を覚ましたアイコディーテ姫は夜の不安が無くなっていることに気づきました。
「大丈夫。お父様もお母様もお友だちもいるんですもの。きっと大丈夫よ」
 
そうしてアイコディーテ姫は元気に学問所へ向かったのでした。
 
その姿を愛用の双眼鏡で見つめるサーヤ・ノワゼット男爵夫人がいることなど誰も知りませんでした。
 
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Last updated: 2012/9/25