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6  「ぼっちゃん。」  月兎
 
<副題: こんな大人になっちゃいました>
 
 親譲りの無法者で子どもの時から勝手ばかりしている。
 英国に居る時分留学先から飛び帰りて喪中に婚約し国民の腰を抜かしたことがある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。3DKの娘に手を出していたら、父である教授が本気に、いくら宮様でも、このままただでは済むとは思ってはいまい。どうするんじゃ。と囃したからである。教授に尻を叩かれて帰って来た時、父宮が細い目をして二回ぐらいしたからといって言うなりになる奴があるかと云ったから、それなら皇族やめますと答えた。
 親類の者から西洋製のナイフのような冷たい目で見られても、親は馬鹿な子ほどかわいいと云った。馬鹿なことがあるか、博士号でも何でもとって見せると請け合った。そんなら男児を産んでみろと注文したから、何だ倫理違反ぐらいこの通りだと国会審議をぶっ潰した。幸い報道規制と、親の庇護が強かったので、未だに男児は隠されている。
 しかし男児は死ぬまで隠さねばならぬ。


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