なまくらの草子

6   なまくらの草子 第四五段 似げなきもの
 
 
似げなきもの(ふさわしくないもの)
 
下種の元に怪しきもの集まりたる。
また、眞子のサシ入りたる肉もくちをし。
 
月二つばかり遅れたる儀式、行いたる。
また、父の声あり動きたる。
幼き男子、草履脱げ走り、乳母の元へ行きたるとて実母腹立つことよ。
 
老いたる男の、病に伏したり。
また、亀首の妻に添われ、亀首を着たる。
日、二度行きてともに病ひ人のためのもの食ひたる。
 
下衆の、名代望みたる。
この頃は、それのみぞあめる。
 
秋篠の拝謁。
目の回りしさまも怪しげなり。
人にみせる姿は、おどろおどろし。
立ちさまよふも、見ればあなづらはし。

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